歴史資料問題の解き方|絵・写真・文章史料の“見るべき点”

中学受験 小4〜小6向け
歴史資料問題の解き方|
図像・遺物・音声資料・文章史料の見る場所
歴史資料問題では、資料を見てすぐに選択肢を選ぶのではなく、資料の種類に合わせて根拠を探すことが大切です。絵や写真なら人物・持ち物・背景、遺物なら素材・形・使い道、文章史料なら主語・制度語・評価語に注目します。
この記事では、資料の種類と読み取り方、選択肢との照合方法、家庭での練習方法を順番に説明します。
- 資料の種類と設問で問われていることを確認する
- 資料の中から、答えにつながる情報を探す
- 読み取れた事実を、時代や出来事の知識と結びつける
- 選択肢と照合し、答えの根拠を一文で説明する
図像・遺物・音声資料などをまとめて何というか
歴史を調べるために使う図像、遺物、音声資料、文書などは、まとめて歴史資料または史資料と呼ばれることがあります。問題文では、単に「資料」と書かれる場合もあります。
中学受験社会では、資料の名称だけでなく、そこから時代・人物・制度・社会の変化を読み取る問題も出ます。「何という資料か」を知るとともに、「どこを見れば答えの根拠になるか」を押さえましょう。
歴史資料の種類と読み取るポイント
資料の種類によって、最初に注目する場所は異なります。次の表で、具体例と読み取り方を確認してください。
※スマートフォンでは表を横にスクロールできます。
| 資料の種類 | 具体例 | 見る場所 | そこから考えること |
|---|---|---|---|
| 図像資料 | 絵、写真、ポスター、風刺画 | 人物、持ち物、服装、背景、強調部分 | 誰が描かれ、何を表しているか |
| 遺物資料 | 土器、石器、銅鐸、貨幣、農具、武器、建物跡 | 素材、形、使い道、出土場所 | 生活、農耕、身分、産業との関係 |
| 文章史料 | 法令、手紙、日記、条約、公文書 | 主語、命令、禁止、制度語、評価語 | 誰が誰に向けて、何を変えようとしているか |
| 音声・映像資料 | 演説、証言、放送、録音、記録映像 | 発言者、場面、目的、聞き手 | 何を伝えようとしているか、どの出来事と関係するか |
| 表・グラフ資料 | 人口、産業、貿易などの統計 | 増減、比較、時期、単位 | どの時期に何が変化したか |
| 地図・年表資料 | 歴史地図、出来事の年表 | 場所、範囲、順序、前後関係 | どこで起きたか、何の前後に起きたか |
歴史資料問題でよくある間違いと確認方法
資料問題で手が止まるときは、知識が不足しているとは限りません。絵の印象や知っている用語だけで判断し、資料の根拠を十分に確認できていない場合もあります。
※スマートフォンでは表を横にスクロールできます。
| よくある間違い | 起こりやすい原因 | 確認すること |
|---|---|---|
| 年代だけで答えを選ぶ | 知っている年号や時代名に引っ張られる | 人物、制度、出来事の内容と一致するか |
| 絵や写真の印象で選ぶ | 人物・持ち物・背景を十分に見ていない | 見える情報を具体的に言葉にできるか |
| 遺物を名前だけで判断する | 使い道や生活との関係を考えていない | 素材、形、使われ方を説明できるか |
| 文章史料の語句だけで決める | 古い表現に戸惑う、または有名な用語だけに注目する | 誰が、誰に、何を命じているか |
| 選択肢がどれも正しく見える | 選択肢の一部分だけを見ている | 資料の根拠と選択肢全体が一致するか |
解説で知っている内容が出てきても、問題を解くときに資料のどこを使えばよいか分からなければ、次の問題でも迷うことがあります。正解したかどうかに加え、「どこを根拠にしたか」を確認しましょう。
図像・写真資料は人物・持ち物・背景から読む
絵や写真では、「なんとなく古そう」「武士の時代らしい」といった印象だけで答えを決めず、見えている情報を具体的に拾います。
人物
誰が描かれているか、身分や立場が分かる服装をしているかを見ます。表情や配置も手がかりになります。
持ち物
農具、武器、貨幣、乗り物、機械などに注目します。生活や産業の変化を考える手がかりになります。
背景
城、寺社、工場、学校、住宅、鉄道などを確認し、政治・産業・文化の変化と結びつけます。
工場や働く人、機械が写っている場合は、まず何が見えるかを整理します。そのうえで、産業の発達や近代化、労働の変化など、写真と関係する内容を考えます。
写真に写っていないことまで決めつけず、設問で問われている内容と照らし合わせることが大切です。
風刺画では、絵の面白さではなく、誰やどの国が描かれているのか、何が大きく強調されているのかを見ます。
そのうえで、条約改正、戦争、外交関係など、当時の出来事とどう関係するかを考えます。
遺物資料は素材・形・使い道から読む
土器、石器、銅鐸、貨幣、農具などの遺物は、名前を覚えるだけでなく、当時の生活や社会の様子を考えるための資料です。
素材
石、土、金属、木など、何で作られているかを見ます。技術や時代の特徴を考える手がかりになります。
形
厚さ、模様、大きさ、使いやすさに注目します。縄文土器と弥生土器の特徴を比べるときにも役立ちます。
使い道
食事、農作業、祭り、戦い、取引など、何に使われたものかを考え、生活や社会の変化と結びつけます。
縄文土器や弥生土器、石器、住居跡などでは、形や使い道、農耕との関係に注目します。
「何という名前か」に加え、「何に使われ、どのような暮らしと関係するか」を説明できるようにしましょう。
文章史料は主語・制度語・評価語から読む
文章史料では、古い言い回しをすべて現代語訳できなくても、誰が何を伝えているのかを確認することで、答えの手がかりを探せます。
主語
誰が命じているのか、誰が困っているのか、誰の立場から書かれているのかを見ます。
制度語
令、制、役、税、条約、改革などの語句に注目し、政治や社会の仕組みと結びつけます。
評価語
苦しむ、喜ぶ、改める、禁じる、認めるなどの表現から、誰にどのような影響があるかを考えます。
刀狩令、御成敗式目、五箇条の御誓文などでは、「定める」「禁じる」「命じる」といった表現に注目します。
誰が、誰に向けて、何を定めたのかを確認し、その目的や影響を考えます。
例題:文章史料の情報を使って答えを選ぶ
次は、年貢に関する文章史料を想定した練習例です。実際の史料からの引用ではなく、読み取りの手順を確認するための例文です。
「村の農民は、収穫した米の一部を年貢として納めること。」
設問:この文章から直接読み取れることはどれですか。
- 農民が収穫した米の一部を納めること
- すべての農民が年貢を免除されたこと
- 年貢がすべて貨幣で納められたこと
- 表現に注目:「村の農民」「収穫した米の一部」「納める」を確認します。
- 事実を読み取る:農民が収穫した米の一部を年貢として納める内容だと分かります。
- 選択肢と照合:選択肢2の「免除」、3の「すべて貨幣」は文章と一致しません。
- 根拠を説明:選択肢1は、文章中の「収穫した米の一部を年貢として納める」と一致するため正解です。
この例では、「年貢」という用語だけで選ばず、誰が何を納めるのかを根拠に判断しています。実際の入試でも、資料に書かれた事実と、知識から推測した内容を区別することが大切です。
主語や制度語を見つけても、「なぜこの制度ができたのか」「この出来事の前後に何があったのか」が分からない場合は、歴史の流れも整理する必要があります。
歴史の流れや出来事の因果関係を確認するページで、用語同士のつながりから見直してみてください。
音声・映像資料は発言者と場面を見る
演説、証言、放送、録音、記録映像などでは、内容だけでなく、誰が、どの場面で、誰に向けて伝えているのかを確認します。
発言者
政治家、当事者、国民、兵士、労働者など、誰の言葉なのかを確認します。
場面
戦争、選挙、外交、災害、社会運動など、どの出来事と関係するかを見ます。
目的
命令、説明、訴え、記録、証言など、何を伝えようとしているのかを考えます。
政治家の演説や戦争中の放送、当時を知る人の証言などでは、発言の一部分だけで判断せず、発言者の立場、時代背景、聞き手への目的を確認します。
表・グラフ・地図・年表資料は変化と前後関係を見る
表・グラフ・地図・年表がほかの歴史資料と組み合わされることもあります。数字や地名を見つけるだけでなく、変化や比較、出来事の前後関係を読み取ります。
表・グラフ
増減、割合、比較する相手、単位、変化した時期を確認します。人口、産業、貿易などの変化を考える手がかりになります。
地図
場所、範囲、移動の向き、周辺地域との関係を見ます。戦い、貿易、交通、都の位置などと結びつけます。
年表
出来事の順番、前後関係、同じ時期に起きたことを確認します。文章史料や写真と組み合わせて考える場合もあります。
一次資料と二次資料の違い
歴史資料は、資料が作られた経緯や使い方によって、一次資料と二次資料に分けて考えることがあります。
調べたい出来事や時代について、直接の手がかりになる資料です。
例:当時の日記、手紙、公文書、法令、新聞、写真、土器、石器、貨幣、建物跡など。
一次資料などを調べ、後から解説・分析・整理した資料です。
例:歴史の解説文、教科書や参考書の説明、研究に基づく文章、まとめ資料など。
一次資料と二次資料は、資料の名前や作られた年代だけで必ず決まるものではありません。例えば、後年に記録された当事者の証言が、調べる内容によって一次資料として使われることもあります。資料がどのように作られ、何を調べるために使うのかを考えることが大切です。
入試でよく出る歴史資料の例
時代ごとの代表的な資料を確認しておくと、問題で見たときに関連する出来事や制度を考えやすくなります。
※スマートフォンでは表を横にスクロールできます。
| 単元・時代 | 代表的な資料例 | 関連する内容 |
|---|---|---|
| 縄文・弥生 | 土器、石器、銅鐸、住居跡 | 生活、農耕、道具 |
| 奈良 | 大仏、寺院、仏像、都の資料 | 政治と仏教、都づくり |
| 鎌倉・室町 | 御成敗式目、分国法、武士の資料 | 武士の政治、支配の仕組み |
| 安土桃山・江戸 | 刀狩令、太閤検地、年貢、身分の資料 | 土地、税、支配の仕組み |
| 幕末・明治 | 黒船、条約、五箇条の御誓文、工場、鉄道、新聞 | 開国、近代化、政治制度 |
| 近現代 | 風刺画、写真、放送、演説、統計資料 | 外交、戦争、社会と国民生活 |
家庭での練習方法
- 頻度:週2回、1回15分
- 問題:模試・過去問から資料問題だけを選ぶ
- 解く前:図像・遺物・文章史料・表やグラフなどに分ける
- 解いた後:根拠にした場所を一文で言う
- 翌日:同じ種類の資料を1問だけ解き直す
「どこを見てそう考えた?」「誰の立場の資料だった?」「何のために作られた資料かな?」のように聞くと、資料の読み方が具体的になります。
資料問題だけでなく、社会全体で「覚えたのに点が取れない」「解説を読むと分かるのに初見では解けない」という状態が続く場合は、勉強の進め方も確認してみてください。
社会の勉強法を原因別に見直すページで、学習方法を整理できます。
「資料のどこを見ればよいか分からない」「解説を読むと分かるが、初見問題では使えない」「根拠を一文で説明できない」という状態が続く場合は、歴史全体の理解や問題の解き方を一緒に確認する方法もあります。
歴史を継続的に見直したい場合は、中学受験社会の本科の内容も参考にしてください。



