中学受験のための社会の勉強はいつから始めるべき?

中学受験社会の受験勉強が間に合わない時の緊急対処法

「社会が間に合わない」と感じた瞬間に点が遠のくのは、残り時間で全範囲を埋めようとして、何も仕上がらない状態になるときです。ここで必要なのは量ではなく、志望校で点になるところに時間を集めること。まず過去問の分野の偏りを見て、出る単元を先に押さえます。そのうえで、覚える範囲をしぼり、時事は出来事名だけで終わらせず背景を一言で言える形にして、正誤・記述に耐える知識へ寄せます。

社会は「最後に詰め込めば何とかなる科目」と思われやすい一方で、実際には追い込み期のやり方を間違えると最も点を落としやすい科目でもあります。なぜなら、出題範囲が広く、地理・歴史・公民・時事のどれも中途半端なまま本番に入ると、選択肢でも記述でも判断がぶれやすくなるからです。しかも、社会は一問あたりの配点が極端に低い学校も多く、「少しずつ落とす」が積み重なると取り返しにくくなります。

だからこそ、間に合わないと感じたときほど、やるべきことを増やすのではなく、やらないことを決める必要があります。全部やろうとするほど、結局どこも仕上がらず、本番で使える知識が残りません。今の時期に必要なのは、志望校の出題傾向に合わせて点になる単元を絞り、そこで確実に得点できるようにすることです。

地理・歴史・公民まで含めた学習方針や指導の全体像は、中学受験 社会専門塾「令和」トップ(全体像はこちら)でも確認できます。

  • いま最初にやること:過去問で「地理/歴史/公民・時事」の出題量の偏りを確認し、出る分野から固める
  • やめることも決める:広げない。伸びが遅い単元に時間を使わず、取れる問題を増やす方向へ寄せる
  • 時事は出来事名で終わらせない:原因・背景・影響を一言で説明できる形にして、記述にもつなげる

志望校分析をする

過去問など過去のデータから、志望校の頻出単元や傾向を調べましょう。勉強が間に合わないと感じているのであれば、社会の全範囲を今から学習することはほとんど不可能でしょう。学校によって出題される問題の傾向は必ずあるので、ムダな時間を費やさないよう出題される可能性が高い分野・単元を集中して学習するしかありません。

ここでの「志望校分析」は、ただ年度ごとの問題を眺めることではありません。たとえば、地理が多い学校なのか、歴史中心なのか、公民と時事が毎年まとまって出るのか、記号選択が多いのか、短文記述が多いのかまで見ていく必要があります。社会は学校ごとの差が出やすい科目です。ある学校では地図・統計・産業が頻出でも、別の学校では文化史や憲法分野が厚く出ることがあります。そこを見ずに「社会全体の総復習」を始めると、努力の方向がずれやすくなります。

また、出題傾向を見るときは、単元名だけでなく、どういう聞かれ方をしているかも確認してください。たとえば、「平安時代が出る」だけでは不十分で、出来事の並べかえなのか、人物と政策の対応なのか、背景説明まで求めるのかで準備の仕方が変わります。地理でも、都道府県名や地名の知識中心なのか、雨温図・地形図・統計の読み取りが多いのかで優先順位が変わります。

追い込み期ほど、この分析は重要です。今からすべての単元を同じ深さでやる余裕がない以上、どの分野で何点分が出て、そこにどれだけ届きそうかを見て、学習の集中先を決める必要があります。社会が間に合わないときにまずやるべきことは、新しい問題集を増やすことではなく、志望校でどこを取りにいくかを決めることです。

優先順位をつける

志望校の中で出題される範囲で、頻出単元は確実に覚えましょう。本来であれば、覚えきれていない単元をきちんと時代背景や当時の情勢を踏まえて覚えるということが必要です。しかし、時間がない中でほとんど分からないような単元を学習するのは極めて困難です。全く分からないといった問題は捨て、確実に解ける問題を増やしましょう。捨て単元もあるうえに曖昧に覚えてしまっては合格にはほど遠くなってしまいます。せめて自信を持って解ける問題や単元を増やしていく努力をしましょう。

ここで大切なのは、「全部を60点にする」のではなく、「取れる分野を80点、90点に近づける」発想です。社会は範囲が広いので、苦手単元をゼロから見直すには思っている以上に時間がかかります。特に、歴史の流れが乱れている、公民の制度が頭に入っていない、地理の統計が読めない、といった状態を一気に見直すのは難しいです。そうであれば、すでに土台がある単元や、短期間で得点化しやすい分野を先に固めた方が結果につながりやすくなります。

優先順位をつけるときは、次のように考えると整理しやすいです。

  • 最優先:志望校で頻出かつ、今ある知識を固めれば得点しやすい単元
  • 次点:頻出ではあるが、理解不足がやや大きく、補強が必要な単元
  • 後回し:出題頻度が低く、見直しに時間がかかる単元

この整理ができると、「今日は何をやるか」が決まりやすくなります。逆に、優先順位がないまま「苦手だから全部やらなきゃ」と考えると、教材を開いてもどこから手をつけるか決まらず、時間だけが過ぎていきます。追い込み期の社会では、勉強時間の長さより、判断の明確さの方が重要です。

また、優先順位をつけるということは、心理的には「やらない単元を認める」ことでもあります。これは不安を伴いますが、現実には必要な判断です。全部を拾いにいって全部浅くなるより、出るところを確実に押さえる方が、本番では点になりやすいからです。社会が間に合わないときは、勇気を持って守備範囲を決めることが得点への近道になります。

地理・歴史・公民で時間の使い方を変える

社会を急いで見直すときは、地理・歴史・公民を同じやり方で回さない方が効率的です。それぞれ、短期間で伸ばしやすい部分が違うからです。

地理では、白地図や地名の丸暗記だけでなく、位置→地形→気候→産業の流れで理由をつなげて覚えると、正誤問題や記述でも乱れにくくなります。統計や地図問題が多い学校なら、知識を増やすだけでなく、「どの数字を見るか」「どこから判断するか」を決めて訓練する必要があります。

歴史では、単発の用語暗記だけでは伸びにくいです。追い込み期でも、最低限、時代の流れはつないでおく必要があります。人物・出来事・政策をばらばらに覚えるのではなく、「なぜ起きたか」「その後どう変わったか」を短く言える形でまとめると、選択肢問題でも記述でも使いやすくなります。文化史や年代整序が出る学校では、その学校向けに重点をずらすことも必要です。

公民は短期間で差がつきやすい分野でもあります。制度や仕組みが整理できれば、比較的点にしやすいからです。ただし、用語だけ覚えても、「何のための制度か」「どこが違うか」が分からないと正誤で乱れます。選挙・三権分立・憲法・地方自治・国際連合など、頻出テーマは説明できる形にしておくと安定します。

思考力を養う

中学受験の社会において記述がメインの学校が志望校である場合は特に丸暗記では太刀打ちできません。社会は暗記教科ではありません。特に時事問題についてはその事柄が起こった原因や背景を知り、説明できるような形で理解しておかなければなりません。また、その問題に対して自分がどう考えるかなども問われることがあるので、時間がないなかでもニュースや新聞を見て日々日本や世界で起こっていることを把握するクセをつけましょう。

ただし、ここでいう「思考力を養う」とは、難しい評論のようなことを考えるという意味ではありません。社会で必要なのは、知識と知識の関係をつなぎ、理由を一言で言えるようにすることです。たとえば、「なぜその産業がその地域でさかんなのか」「なぜその政策が行われたのか」「なぜその国際問題が起こったのか」を、自分の言葉で短く説明できる状態です。ここまでできると、記号問題でも選択肢の違和感に気づきやすくなりますし、記述でも単なる用語の羅列で終わりにくくなります。

時事問題は特にこの力が問われやすいです。出来事名だけ覚えても、選択肢の正誤や理由説明には弱いままです。たとえば、ある国際会議が開かれた、ある法改正があった、ある災害が起きた、という事実を知っているだけでは不十分で、「なぜそれが話題になったのか」「社会にどんな影響があるのか」まで一言で言える必要があります。ここまで整理してはじめて、時事が記述にもつながる知識になります。

また、思考力系の問題は、知識が少なくても取れるわけではありません。むしろ、基礎知識が整理されていて初めて考えられます。だから、追い込み期にやるべきことは「暗記か思考か」の二択ではなく、使える知識に寄せることです。丸暗記で終わらせず、最低限の理由づけを添えて覚える。それが、時間がない中でも点につながる社会の学び方です。

間に合わないときほど、教材を増やさない

社会が間に合わないと感じると、新しい問題集やまとめ教材に手を出したくなりがちです。しかし、追い込み期ほど教材を増やすのは危険です。どの教材も途中で終わりやすくなり、結局どれも定着しないからです。

この時期は、今まで使ってきた教材、志望校の過去問、まとめノートや一問一答など、材料を絞った方が効果が出やすいです。必要なのは情報量の追加ではなく、定着度の引き上げだからです。すでに見たことのある内容を、答えられる形・説明できる形まで上げていく方が、本番には直結します。

特に、間違えた問題の解き直しや、曖昧だった単元の再確認は、最も得点効率の高い復習です。新しい教材を開く前に、「今ある教材の中でまだ自信を持って言えない所はどこか」を見直す方が、はるかに効果的です。

直前期の1日の回し方を決める

「社会が間に合わない」という状態では、何をやるかだけでなく、1日の回し方を決めることも大切です。毎日その場で内容を決めていると、焦りで簡単な所ばかり見たり、逆に重すぎる課題に手を出して進まなかったりしやすくなります。

たとえば、

  • 最初に志望校頻出単元の確認
  • 次に過去問や類題で出題形式の確認
  • 最後に時事・公民・統計など短時間で見直せる部分の整理

のように、毎日の流れをある程度決めておくと、判断の迷いが減ります。時間がないときほど、判断の回数を減らすことが大事です。社会は他教科の負担の合間に回すことも多いため、「今日は何を見直すか」がすぐ決まる形にしておくと、学習がつまずきにくくなります。

まとめ

中学受験社会の受験勉強が間に合わないといったことにならないためにも、普段からテスト前に丸暗記だけで済ませたりせず、きちんと理解し、知識として身につける必要があります。暗記教科だから後から勉強しても間に合う、と思わずに、日ごろから学習を積み重ねていきましょう。

ただ、すでに「間に合わない」と感じているなら、今からでも打てる手はあります。まず志望校分析をして、出る分野を見極めること。次に、優先順位を決めて、取れる単元を固めること。さらに、時事や記述は用語だけで終わらせず、背景や理由を一言で説明できる形にすること。この3つを徹底するだけでも、社会の得点は変わってきます。

社会は、焦って広げるほど乱れやすい科目です。だからこそ、残り時間が少ないときほど、範囲をしぼり、判断を明確にし、志望校で点になる形に寄せていく必要があります。全部を間に合わせようとするのではなく、本番で使える知識を増やすことに集中していきましょう。

本科「歴史の完成」≪8回完結講座≫

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