地理の学習カリキュラムと学習指針

地理の学習カリキュラムと学習指針

地理は「暗記が多い科目」に見えますが、入試で点が取れるかどうかは、暗記量よりもつながり(位置→地形→気候→産業→都市・課題)を説明できるかで決まります。
用語を一問一答で覚えても、設問が「理由」「比較」「資料読み取り」になると崩れるのは、なぜそうなるかが頭の中で結びついていないからです。

このページは、子どもが自分で学習に使えるように、各単元を「理解→暗記→確認→演習」に分解してまとめたものです。
本文中の空欄はタップで答えが出ます。まずは答えを隠して読み、言えるかどうかで理解の完成度を判定してください。

地理で得点が安定する「3つの力」

  • 地図で位置をつかむ力:どこにあるか(方位・距離・緯度経度)を説明できる。
  • 理由づけの力:「なぜそこでそれが起きるのか」を地形・気候・交通で言える。
  • 資料処理の力:雨温図・統計・地図・写真の「根拠」を拾い、言葉でまとめられる。

家庭で伸ばす学習サイクル(1単元15〜30分で回す)

  • 理解:地図を見て「どこ」「なぜ」を一文で言う。
  • 暗記:必要語句だけを覚える(全部を覚えようとしない)。
  • 確認:空欄を見て口で言う。言えない語は復習リストに戻す。
  • 演習:資料(地図・雨温図・統計)で「根拠を拾う練習」をする。

よく出る出題パターン(先に知っておく)

  • 地図問題:分布(集中・かたより)/境界(山地・海岸線・県境)/位置(海峡・港)
  • 雨温図:降水が多い季節/年較差/気候区分の判別と理由説明
  • 統計:増減(前年差)/割合(構成比)/上位(ランキング)
  • 写真・資料:地形(扇状地・三角州)/農業(ハウス・段々畑)/工業(コンビナート)
  • 記述:原因→結果/比較(AとBの違い)/課題と対策(過疎・公害など)

00. 地図の基礎(ここが弱いと全部が崩れる)

Ⅰ.方位・距離・縮尺

  • 方位:地図は基本「上が北」。ただし方位記号があるときはそれに従う。
  • 縮尺:地図上の1cmが実際の何kmに当たるかを計算できるようにする。
  • 距離の計算は「式」を固定:実際の距離=地図の距離×縮尺(または縮尺分母÷100000でkm換算)。

Ⅱ.緯度・経度(位置説明の土台)

緯度経度ができると、「日本は中緯度」「南ほど温暖」「東西で時差」など、気候や生活に一気につながります。

  • 緯度:赤道からの南北の角度(北緯・南緯)。
  • 経度:本初子午線からの東西の角度(東経・西経)。
  • 時差:経度15度1時間(東へ行くほど時刻は進む)。

Ⅲ.地図記号・等高線(資料読み取りの必修)

  • 地図記号は「寺」「神社」「郵便局」「工場」など、生活施設の判別に直結。
  • 等高線は「間隔が狭い=急」「広い=ゆるい」。尾根・谷・崖の見分けを練習。

01. 地形・気候

Ⅰ.日本列島の位置(海・海峡・海流・領域)

日本の地理はまず「位置」です。位置が分かると、海流・気候・産業・交通がつながって理解できます。

日本の周りの海は、日本海太平洋オホーツク海東シナ海

  • 日本の四方端:最北端択捉島/最東端南鳥島/最西端与那国島/最南端沖ノ鳥島
  • 重要海峡:宗谷海峡津軽海峡対馬海峡関門海峡
  • 海流:暖流黒潮対馬海流/寒流親潮
  • 島国で海に囲まれる→漁業が発達/港が重要/季節風の影響を受けやすい。

排他的経済水域(EEZ)は、沿岸から200海里までの範囲です。

  • ポイント:EEZは「その国が水産資源・海底資源を利用できる範囲」。島が多い国ほど海の面積が広くなりやすい。
  • 領海はおおむね沿岸から12海里(ここは「国の領域」として扱われる)。

日本の領土問題(相手とセット):北方領土=相手ロシア/竹島=相手韓国/尖閣諸島=相手中国

この小単元の確認(口で言えるか)

  • 日本の周りの海を4つ言える(日本海・太平洋・オホーツク海・東シナ海)。
  • 暖流は黒潮、寒流は親潮(名前と性質:暖流=温暖・多湿、寒流=冷涼)。
  • EEZは200海里、領海は12海里

Ⅱ.地形①:山地と山脈(山が多い国の意味)

日本は国土の多くが山地です。山地が多いと、平野が限られ、川が短く急になり、扇状地・ダム・水力発電などがつながります。

  • 日本の国土の約4分の3は山地(=平野が貴重)。
  • 最高峰は富士山3776m)。
  • 山地が多い→耕地が限られる→米作は平野に集中/都市も平野・沿岸に集まりやすい。
  • 山は気候にも影響:季節風をさえぎる→雪の多い地域/乾燥しやすい地域が生まれる。

代表セット:日本アルプス=飛騨山脈(北)・木曽山脈(中)・赤石山脈(南)

日本はプレートの境界付近にあり、地震火山が多い(地形の成り立ちとセットで理解)。

  • 「災害」と地形はセット:火山灰地の畑作、地震・津波の備え、土砂災害の起こりやすい地形を知る。

この小単元の確認(口で言えるか)

  • 最高峰は富士山3776m)。
  • 日本アルプスの3つ(飛騨・木曽・赤石)を言える。

Ⅲ.地形②:川と湖(地形→くらし→産業へ)

川は「地形(山地が多い)」と「産業(米作・工業用水・発電)」をつなぐ単元です。まずは頻出の“代表”を固めましょう。

  • 日本一長い川=信濃川
  • 流域面積が最大=利根川
  • 日本三大急流=最上川富士川球磨川
  • 日本最大の湖=琵琶湖

「川の長さ」と「流域面積」は同じではありません。入試では“どちらが問われているか”を読み違えないことが得点差になります。

川が作る地形(写真・図で出る)

  • 扇状地:山地から平野に出るところで砂れきがたまり、川が網目状に分かれやすい(水はけがよい→果樹・畑作)。
  • 三角州:河口付近で土砂がたまり、平らな土地が広がる(稲作・都市が発達しやすい)。
  • ダム:水不足対策・洪水対策・水力発電(目的をセットで)。

この小単元の確認(口で言えるか)

  • 最長は信濃川、流域最大は利根川
  • 三大急流を3つ言える(最上・富士・球磨)。
  • 最大の湖は琵琶湖

Ⅳ.地形③:平野・盆地・台地(人と産業の舞台)

平野・盆地・台地は「人が住む」「農業・工業が発展する」土台です。地形名は“産業・都市”とセットで覚えます。

  • 日本最大の平野=関東平野
  • 平野:人口集中/交通の結節点/臨海部に工業(港+広い土地)が集まりやすい。
  • 盆地:夏暑く冬寒いなど年較差が大きくなりやすい(内陸性)。果樹栽培と結びつくことも多い。
  • 台地:関東では宅地化・畑作(畑・住宅地)とセットになりやすい。

自然・文化の要点(出題が広い分、代表から)

  • ラムサール条約:水鳥などの生息地として重要な湿地を守る条約。
  • 世界遺産は「場所+種類(文化/自然)+ポイント」をセットで学ぶ(地理と歴史の両方から出題)。

Ⅴ.気候と雨温図(原因で説明できるようにする)

気候は“暗記”より“原因”です。日本の気候の違いは、主に緯度季節風海流山地で説明できます。

雨温図は、降水量(棒)と気温(折れ線)を読み取り、その地域の特徴を説明する資料です。

  • 季節風:冬は北西、夏は南東が基本。
  • 日本の気候区分(代表6):北海道日本海側太平洋側瀬戸内中央高地南西諸島
  • 雨温図は「冬に雪が多いか」「夏に雨が多いか」「年較差が大きいか」で切り分ける。

6つの気候区分:特徴と“理由”のセット

区分 特徴(雨温図で見る点) 理由(説明に使う語)
北海道 気温が低め、梅雨の影響が弱い 高緯度/寒冷な気団の影響
日本海側 冬に降水(雪)が多い 冬の季節風北西+山地で上昇→雪
太平洋側 冬は乾燥、夏は雨が多い 冬は山越えで乾燥/夏は湿った季節風
瀬戸内 降水量が少なめ 山地に囲まれ季節風の影響が弱い
中央高地 年較差が大きい、降水少なめ 内陸性/標高/フェーン現象(説明に)
南西諸島 高温多雨、台風の影響 低緯度/暖流/台風・季節風

雨温図の“読み取り手順”(迷わない型)

  1. 平均気温の高さ:夏が高いか/冬が低いか(緯度・内陸性のヒント)。
  2. 降水のピーク:夏型か/冬型か(季節風・梅雨・台風のヒント)。
  3. 年較差:大きい→内陸(中央高地など)/小さい→海の影響。
  4. 最後に理由:季節風・山地・海流のどれで説明できるかを選ぶ。

この小単元の確認(口で言えるか)

  • 冬の季節風は北西(日本海側に雪)。
  • 代表6区分を言える(北海道・日本海側・太平洋側・瀬戸内・中央高地・南西諸島)。

02. 農林水産業

Ⅰ.日本の農業(地形・気候とセットで覚える)

農業は「地形・気候」と直結します。稲作・畑作・園芸・畜産を、土地条件出荷の工夫で整理すると崩れません。

園芸農業(出荷時期をずらして高く売る)

  • ビニールハウスで早く出荷=促成栽培
  • 涼しい地域で夏に出荷=抑制栽培
  • 涼しい高原で野菜=高冷地野菜
  • 近郊農業は「大都市に近い→新鮮→輸送費が小さい」が軸(葉物野菜などと相性がよい)。

稲作・畑作(写真・統計で出る)

  • 稲作:平野・三角州など水が得やすい土地と結びつく。用水路・区画整理・機械化がポイント。
  • 畑作:冷涼な地域(北海道など)や台地(関東など)と結びつくことが多い。
  • 二毛作:同じ土地で年2回作物をつくる(例:米+麦など)。
  • 二期作:同じ作物を年2回つくる(暖かい地域で可能になりやすい)。

工場で加工されたり工業の原料となったりする作物を工芸作物という(例:綿花・てんさい・さとうきびなど)。

生産量ランキングは年で動くため、「上位常連(代表県)」を押さえ、資料問題で最終確認するのが安全です。

畜産(気候・市場・飼料の視点)

  • 酪農:冷涼な地域や広い土地と相性がよい(乳製品の流通・市場距離も考える)。
  • 肉用牛・養豚・養鶏:飼料の輸入、加工・流通、消費地との距離が絡む(理由説明で使う)。

Ⅱ.日本の水産業(海流+EEZ+漁業の変化)

水産業は「海流」と「200海里(EEZ)」が軸です。漁法・漁場・漁業の変化をセットで覚えます。

  • 好漁場:暖流黒潮と寒流親潮が出会う海域(代表:三陸沖など)。

漁業の種類(“どこで”行うか)

  • 沿岸漁業:岸に近い海(小型船・日帰りが多い)。
  • 沖合漁業:沿岸より遠い海(数日規模)。
  • 遠洋漁業:世界の海へ(長期間)。近年は縮小傾向。

漁法(写真で判別される)

  • とる漁業(代表例):まき網底びき網定置網
  • 育てる漁業:養殖(いけす等で育てる)/栽培漁業(稚魚を放流)
  • 遠洋漁業が縮小した理由は「200海里規制」「燃料費」「資源管理」などを資料と結びつけて説明。

Ⅲ.日本の林業(森林が多い国の課題)

林業は「森林が多い国」なのに課題が出る単元です。比率・代表美林・輸入の流れを固めたうえで、なぜ課題が残るかまで言えるようにします。

  • 日本の森林は国土の約3分の2
  • 天然の三大美林:青森ヒバ秋田スギ木曽ヒノキ
  • 人工の三大美林:吉野天竜尾鷲

林業の「課題」まで言えるようにする

  • 輸入材が増えた→国産材が売れにくい→手入れ不足→土砂災害リスクや生態系への影響が問題になることも。
  • 対策の方向:間伐・路網整備・国産材活用・木材利用(公共建築など)を押さえる。

この章の確認(口で言えるか)

  • 早く出荷=促成栽培/夏に出荷=抑制栽培
  • 育てる漁業は養殖栽培漁業
  • 天然三大美林を3つ言える(青森ヒバ・秋田スギ・木曽ヒノキ)。

03. 工業・都市の発展

Ⅰ.工業の見方(“どこで・なぜ”を説明する)

工業は「原料の輸入」「製品の輸出」「人口・交通」の条件で説明できます。まずは立地条件の型を作ると、どの地域でも答えられるようになります。

  • 工業が集まりやすい条件:①港(輸入・輸出)②広い土地 ③交通網 ④労働力 ⑤大消費地(市場)
  • 臨海部に工業が集中:原料輸入に便利/工場用地/大量輸送(船)/コンビナート

Ⅱ.工業地帯(まずは“太平洋ベルト”)

太平洋ベルト:関東北九州にかけて、工業と人口が集中する帯状の地域。

  • 三大工業地帯:京浜中京阪神
  • 入試では「位置(地図)」+「主な工業(機械・自動車・化学など)」がセットで問われやすい。
  • 地帯/地域の呼び方は揺れがあるため、暗記より場所を地図で説明できることを優先。

Ⅲ.工業地域(地帯以外の集積)

  • 代表例:京葉・東海・瀬戸内・北陸(まずは地図で位置)。
  • 覚え方:地帯=広範囲で多様、地域=地帯以外の集積(位置と特徴で整理)。

Ⅳ.伝統工業(産地と結びつける)

  • 伝統的工芸品は国の指定がある(名称だけでなく産地もセットで)。
  • 出題のされ方:写真→製品名→産地、または「その地域の特色ある産業」として問われる。

Ⅴ.工業をめぐる諸問題(公害・資源・貿易)

公害は暗記で終わらず「原因物質」「被害」「対策」で整理します。貿易は“加工貿易”の意味を説明できることがゴールです。

  • 典型七公害:大気汚染/水質汚濁/土壌汚染/騒音/振動/地盤沈下/悪臭
  • 日本最初の公害問題:足尾銅山鉱毒事件
  • 四大公害病:水俣病新潟水俣病イタイイタイ病四日市ぜんそく
  • 日本の貿易:原料を輸入→国内で加工→製品を輸出=加工貿易

Ⅵ.都市の発展(過密・過疎・交通)

  • 大都市の問題=過密(住宅・交通混雑・環境など)。
  • 地方の問題=過疎(人口減少・高齢化・サービス維持)。
  • 都市の広がり:都心→郊外→ベッドタウン(通勤・通学)という流れを地図で確認。
  • 交通は「人の移動(鉄道・道路)」と「物の移動(港・空港)」を分けて見る。

04. 地域学習の進め方(日本の地方は“型”で覚える)

地方別学習は、県名を暗記するよりも、地形・気候・産業・都市・課題を同じ型で整理すると安定します。

地方学習のテンプレ(この順に言えるように)

  1. 位置:どの海に面するか/隣の地方はどこか
  2. 地形:山地・平野・河川(農業・人口に直結)
  3. 気候:雪が多いか/雨が多い季節はいつか(雨温図で)
  4. 産業:農業・水産・工業・観光のどれが強いか
  5. 都市・交通:中心都市と結節点(港・新幹線・高速)
  6. 課題:過疎・災害・環境・産業転換など

資料問題の読み方(地理は「場所→数字→理由」で拾う)

  • 地図:まず凡例と方位、次に「集中」「分布」「境界」を見る。
  • 統計:増減(前年差)/割合(構成比)/順位(上位)を先に拾う。
  • 雨温図:降水の多い季節と年較差で切り分け、理由を季節風・海流・山地で説明する。
  • 資料の基本姿勢:「読み取れる事実」と「推測(理由)」を分けて書くと記述が強くなる。

総合チェック(タップで答えが出る)

  1. 緯度は赤道からの南北、経度は本初子午線からの東西
  2. 時差は経度15度1時間
  3. 日本の周りの海は日本海太平洋オホーツク海東シナ海
  4. 排他的経済水域は沿岸から200海里まで、領海は12海里
  5. 最高峰は富士山3776m)。
  6. 日本一長い川は信濃川、流域面積最大は利根川
  7. 日本三大急流は最上川富士川球磨川
  8. 日本最大の湖は琵琶湖、最大の平野は関東平野
  9. 冬の季節風は北西、夏の季節風は南東が基本。
  10. 日本の気候区分(代表6)は北海道日本海側太平洋側瀬戸内中央高地南西諸島
  11. 早く出荷する栽培を促成栽培、夏に出荷する栽培を抑制栽培という。
  12. 育てる漁業は養殖栽培漁業
  13. 三大工業地帯は京浜中京阪神
  14. 日本最初の公害問題は足尾銅山鉱毒事件。四大公害病の1つは水俣病
  15. 原料を輸入して加工し輸出する貿易を加工貿易という。

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地理分野は「どこに何があるのか」「どこで何が行われているのか」を正しく理解することに尽きます。したがって「場所」つまり「地図」をベースにおいて理解を進めないと、きちんと知識を積み上げることが出来ません。当塾では、常に「どこ」というポイントに軸足を置きながら、様々な事象・現象を正しく理解させるように指導を行っていきます。