歴史の学習カリキュラムと学習指針
歴史の学習カリキュラムと学習指針
歴史は「暗記科目」に見えますが、入試で点が安定するかは、暗記量よりも流れ(前後関係)と因果(なぜ起きたか)を説明できるかで決まります。
用語を一問一答で覚えても、設問が「理由」「比較」「資料読み取り」になるとつまずくのは、出来事が一本の線としてつながっていないからです。
このページは、子どもが自分で学習に使えるように、各単元を「理解→暗記→確認→演習」に分解してまとめたものです。
本文中の空欄は、タップで答えが出ます。まずは答えを隠して読み、言えるかどうかで理解の完成度を判定してください。
このページの使い方(効率よく得点につなげる)
- ステップ1(3分):見出しだけ読み、「今どの時代か」を言えるようにする。
- ステップ2(10分):本文を読みながら、空欄をタップせずに口で答える(言えない語に印)。
- ステップ3(5分):印をつけた語だけ空欄を確認し、「一文説明」に直す。
- ステップ4(10分):資料(写真・史料・地図)で同じ範囲を1セット演習。
歴史は「全部を同じ濃さで暗記」すると失速します。まずは頻出の制度・条約・政治のしくみを軸にし、文化は代表作+時代で固めるのが安全です。
歴史の全体像(最初に作る年表の骨組み)
原始:旧石器→縄文→弥生/古代:古墳→飛鳥→奈良→平安
中世:鎌倉→室町→安土桃山/近世:江戸
近代〜現代:明治→大正→昭和(戦前)→昭和(戦後)
家庭で伸ばす学習サイクル(1単元15〜30分で回す)
- 理解:出来事を「いつ(時代)/誰が/何を/なぜ」で一文にする。
- 暗記:人物・制度・条約など「出題される語」を最小セットで覚える。
- 確認:空欄を見て口で言う。言えない語は復習リストへ戻す。
- 演習:資料(地図・写真・史料文・グラフ)で「根拠を拾う練習」をする。
歴史は「年号を増やす」より、「理由が言えるか」「比較できるか」で完成度が決まります。年号は“流れを固める材料”として必要最小限に使います。
01. 律令国家の成立から崩壊
Ⅰ.古墳時代以前(旧石器・縄文・弥生)
この単元のゴールは、用語暗記ではなく「生活と社会がどう変化したか」を説明できることです。
特に稲作の開始は、社会の仕組み(むら→くに)まで変える転換点になります。
旧石器時代(道具と環境)
- 主に使った石器:打製石器(石を打ち欠いて作る)。
- 狩り・採集中心。氷期の影響で海面が低く、大陸とつながっていた時期がある(位置関係を地図で確認)。
縄文時代(定住とくらし)
- 土器:縄文土器(にたきに便利)。
- 住居:竪穴住居、食べ残しの跡:貝塚。
- 信仰・道具:土偶、骨角器など。
弥生時代(稲作と社会の変化)
- 稲作が広まり、食料を“ためる”必要が出る→高床倉庫。
- むらを守る工夫:環濠集落。
- 青銅器の代表:祭りに使う銅鐸(地域差も意識)。
- 鉄器:農具・武器として実用(生産力が上がり、争いも起こりやすくなる)。
- 稲作の開始で起こる変化:①定住の進行 ②人口増 ③貧富差・身分差 ④争い→指導者の登場→「くに」へ。
大陸との交流(史料で出題される)
- 「倭」の記録:漢書地理志・後漢書・魏志倭人伝など(内容の“特徴語”で判別)。
- 卑弥呼が登場する史料:魏志倭人伝。
この単元の確認(口で言えるか)
- 旧石器時代は打製石器が中心。
- 縄文は竪穴住居・貝塚。
- 弥生で稲作が広まり、高床倉庫や環濠集落が見られる。
- 卑弥呼が出るのは魏志倭人伝。
Ⅱ.古墳時代(大和政権の成立)
この単元のゴールは、「国の中心がどうまとまっていったか」を説明できることです。
古墳は当時の権力と支配の広がりを示す“証拠”になります。
古墳と支配の広がり
- 代表的な古墳の形:前方後円墳(権力の大きさの象徴)。
- 古墳に並べたもの:埴輪(当時のくらし・武器・儀式の手がかり)。
- 中心となった政権:大和政権(まとまり方を流れで)。
入試で問われやすい史料・古墳
- 稲荷山古墳の銘文:人物ワカタケル大王(=雄略天皇とされる)→支配の広がりを説明。
- 「倭の五王」:中国(南朝)に使者を送った王たち(外交で出題)。
朝鮮半島との関わり
- 4世紀ごろの国:高句麗・百済・新羅・加耶(位置も含めて地図で確認)。
- 「なぜ交流が必要だったか」(技術・文化・軍事)を一文で言えるように。
この単元の確認
- 古墳の代表形は前方後円墳。
- 支配拡大の手がかり:稲荷山古墳のワカタケル大王。
Ⅲ.飛鳥時代(国づくりの本格化)
飛鳥時代は「どんな国を目指したのか(中央集権)」が最重要です。出来事を“目的”でつなげます。
聖徳太子の政治(制度をセットで)
- 人材登用の制度:冠位十二階。
- 政治の方針:十七条の憲法(内容の方向性を説明)。
- 遣隋使:代表人物小野妹子(外交・文化の吸収)。
大化の改新〜律令へ(“ねらい”で理解)
- 大化の改新:中大兄皇子(天智天皇)・中臣鎌足など。ねらいは中央集権化。
- 白村江の戦い:朝鮮半島への進出を控えるきっかけ(国防と国づくりへ影響)。
- 壬申の乱:天武天皇につながる争い(政治の安定へ)。
- 大宝律令:律令国家の土台(制度の完成へ)。
この単元の確認
- 聖徳太子:冠位十二階・十七条の憲法。
- 飛鳥の国づくりの軸は中央集権。
Ⅳ.奈良時代(律令国家のしくみ)
奈良は「制度」が得点源です。政治・地方・土地・税を“目的つき”で説明できる形にします。
都と政治
- 都:平城京(唐の影響もセットで)。
- 律令国家の政治:役所・官僚制度のイメージを作る(暗記より“何のため”)。
土地制度(超頻出)
- 土地の考え方:公地公民(土地と人民は国のもの)。
- 口分田を配る制度:班田収授法(税を集める前提)。
- 制度がゆらぐ流れ:三世一身法→墾田永年私財法→荘園の広がり。
税(租・庸・調)
- 租:主に米を納める。
- 庸:都での労役、または布などで代わりに納める。
- 調:地方の特産物を納める。
仏教と文化(資料で出やすい)
- 聖武天皇:大仏建立、協力した僧行基。
- 天平文化:唐の影響が強い仏教文化(代表例を「場所・作品」で)。
- 鑑真:仏教の広まり(人物と目的)。
この単元の確認
- 土地制度:公地公民・班田収授法。
- 税:租・庸・調。
- 荘園拡大のきっかけ:墾田永年私財法。
Ⅴ.平安時代(貴族政治から武士へ)
平安のゴールは、「貴族の政治がなぜゆらぎ、武士がなぜ強くなるのか」を流れで説明できることです。
貴族の政治(摂関政治・院政)
- 摂関政治:藤原氏が外戚として政治の実権を握るしくみ。
- 代表人物:藤原道長(権力の頂点の象徴)。
- 院政:上皇が政治を行う=院政(代表:白河上皇)。
地方のつまずきと武士の成長
- 反乱:関東平将門の乱/瀬戸内藤原純友の乱。
- 地方の治安維持や荘園管理で武士が力を持つ(“必要とされた”ことがポイント)。
- 有力武士団:源氏と平氏。
平氏の政権と貿易
- 平清盛:武士として政治の中心へ。日宋貿易など経済面も重要。
文化(国風文化は代表作で得点)
- 国風文化:遣唐使停止(形式的には894年頃)以後、日本的文化が発達。
- 随筆:枕草子/物語:源氏物語
- 和歌集:古今和歌集(万葉集との違いは“時代”で)。
この章の総合チェック(タップで答え)
- 摂関政治を行ったのは藤原氏。
- 上皇が政治を行うのは院政。
- 反乱:関東は平将門の乱、瀬戸内は藤原純友の乱。
02. 武士の時代
Ⅰ.鎌倉時代(武士の政治のはじまり)
鎌倉は「封建制度(御恩と奉公)」が最重要です。しくみが説明できると、人物問題も資料問題も安定します。
幕府成立と武士の支配
- 中心人物:源頼朝。
- 守護・地頭:武士を地方に配置し支配を広げる(役割まで説明)。
- 封建制度の核:御恩と奉公(御恩=土地など/奉公=軍役など)。
執権政治と武家法
- 執権:北条氏が幕府の実権を握る。
- 頻出の執権:3代北条泰時、8代北条時宗。
- 最初の武家法:御成敗式目(武士社会のルール)。
対外関係(元寇)
- 元寇:相手は元(モンゴル帝国)。文永の役・弘安の役。
- 戦いの絵や武具は資料で出やすい(“当時の様子”を言語化できるように)。
この単元の確認
- 封建制度の核:御恩と奉公。
- 最初の武家法:御成敗式目。
Ⅱ.室町時代(南北朝〜戦国へ)
室町は「南北朝→幕府の確立→戦国へ」の流れを切らさないことが得点の土台です。
- 建武の新政:中心後醍醐天皇(なぜ不安定だったかまで)。
- 南北朝の分裂の理由を「誰と誰が対立したか」で説明できるように。
- 将軍:1代足利尊氏、3代足利義満、8代足利義政は必ず。
- 日明貿易:勘合貿易(目的=海賊対策、証明札=勘合)。
- 戦国のきっかけ:応仁の乱(京都の争乱→地方へ)。
- 農村の自治(惣)・一揆など、民衆の動きも“理由”とセットで。
Ⅲ.安土・桃山時代(まとまりと改革)
安土桃山は「まとまりの流れ」と「政策の目的」をセットで固めます。暗記を“意味のある説明”に変えるのが得点源です。
- 織田信長:政策楽市楽座(ねらい=商業の活性化、座の特権を弱める)。
- 豊臣秀吉:全国統一、太閤検地(土地と年貢の把握)・刀狩(武器の取り上げ)。
- 朝鮮出兵:文禄の役・慶長の役(元寇と混同しない)。
Ⅳ.江戸時代(幕藩体制〜幕末)
江戸は「しくみ(幕藩体制)」「改革(三大改革)」「開国〜幕末」が3本柱です。細部は資料で確認しつつ、まずは流れを一本化します。
幕藩体制と統制
- 大名統制:武家諸法度、参勤交代(目的=大名の力を弱める)。
- 鎖国:主な理由はキリスト教と海外勢力の影響をおさえること。
政治の変化と改革
- 徳川綱吉:文治政治、生類憐れみの令。
- 三大改革:享保(徳川吉宗)/寛政(松平定信)/天保(水野忠邦)。
- 改革は「何が問題で」「どう直したか」を一文で言えるように(例:財政、農村、商人、治安)。
開国と幕末(流れ重視)
- 黒船来航:ペリー。
- 条約→国内対立→尊王攘夷→倒幕という“一本道”で整理。
- 大政奉還:徳川慶喜(武士の時代の終わり)。
その他(文化は代表作で得点)
- 北山文化:代表金閣。
- 東山文化:代表銀閣、わび・さび。
- 元禄文化:町人文化(歌舞伎・浮世絵など)。
- 化政文化:江戸の庶民文化(読本・滑稽本など)。
この章の総合チェック(タップで答え)
- 室町の日明貿易は勘合貿易。
- 秀吉の政策:太閤検地・刀狩。
- 江戸の統制策:参勤交代。
- 大政奉還は徳川慶喜。
03. 近代国家の形成
Ⅰ.明治時代(明治維新〜立憲国家へ)
明治は「改革のセット」が得点源です。制度の名前を並べるのではなく、何を変えたか(政治・身分・税・軍事)で整理します。
政治・社会の大改革
- 明治維新の方針:五箇条の御誓文(内容が頻出)。
- 中央集権化:版籍奉還→廃藩置県。
- 富国強兵:地租改正・徴兵令(ねらい=近代国家づくり)。
- 文明開化:資料(写真・広告)で出やすい。日本初の鉄道(新橋〜横浜)も頻出。
立憲国家と選挙
- 大日本帝国憲法(立憲国家へ)。
- 第一回衆議院総選挙:選挙権の条件(財産条件など)を押さえる。
条約改正と対外関係
- 治外法権撤廃に尽力:陸奥宗光。
- 関税自主権回復に尽力:小村寿太郎。
- 日清・日露戦争は「原因→条約→結果(領土・賠償・国際関係)」で整理。
Ⅱ.大正時代(第一次世界大戦と大正デモクラシー)
- 第一次世界大戦の流れ(世界と日本)を整理。
- 大正デモクラシー:普通選挙へ(“誰が政治に参加できるか”が変わる)。
- 普通選挙法:選挙権が広がる(同時期の治安維持法など“光と影”も意識)。
Ⅲ.昭和時代①(戦前〜戦中)
- 世界恐慌→軍部の発言力→満州事変→国際連盟脱退の流れを一本化。
- 事件:五・一五事件、二・二六事件(政治の不安定化)。
- 日中戦争→国家総動員法→太平洋戦争へ。
- 終戦までの過程は、地図(戦線拡大)とセットで確認。
Ⅳ.昭和時代②(戦後〜現代への入口)
歴史の終盤は公民の導入でもあります。改革・憲法・国際復帰を「つながり」で理解すると、公民が一気に楽になります。
- GHQと改革:五大改革指令など(何を変えたか)。
- 日本国憲法:公布1946年、施行1947年(年月日は必ず)。
- 三大原則:国民主権・基本的人権の尊重・平和主義。
- サンフランシスコ平和条約(国際復帰)と日米関係の条約もセットで。
- 朝鮮戦争の特需→高度経済成長→第一次石油危機までの流れ。
- 紙幣の人物:福沢諭吉・樋口一葉・野口英世(業績も)。
資料問題の読み方(歴史は「何の資料か→立場→結論」で拾う)
- 史料文:誰の立場の文章か(政府/民衆/外国など)を先に確認。
- 写真・絵:何を示す資料か(武器・服装・建物・作業)を言語化してから選択肢へ。
- 年表:原因→結果で見る。年号は“流れの確認”に使う(丸暗記の中心にしない)。
総合チェック(タップで答えが出る)
- 弥生の社会変化の原因は稲作の広まり。
- 古墳の代表形は前方後円墳。
- 奈良の土地制度:公地公民・班田収授法。
- 奈良の税:租・庸・調。
- 鎌倉の武家法:御成敗式目。
- 室町の日明貿易:勘合貿易。
- 秀吉の政策:太閤検地・刀狩。
- 江戸の統制策:参勤交代。
- 条約改正:治外法権撤廃=陸奥宗光、関税自主権回復=小村寿太郎。
- 日本国憲法:公布1946年、施行1947年。
まとめ
歴史は、年号暗記を増やすよりも、「流れ(前後関係)」と「因果(なぜ)」を短く説明できるかで完成度を判定する方が伸びやすいです。
このページは、理解→暗記→確認(空欄)→演習の順で回せるようにまとめてあります。まずは骨組みを作り、確認で言えない語だけを復習に戻してください。
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